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潤餅/春捲 rùn bǐng/chūn juàn [台湾風春巻き]

潤餅/春捲 rùn bǐng/chūn juàn [台湾風春巻き]
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餅bingは小麦粉生地を使った軽食に使われる言葉。小麦粉の生地を薄くのばしてクレープ状に焼いたものを薄餅bopingと呼びますが、台湾では輭餅(軟餅)ruanbing=軟らかい餅、さらにその音と似た潤餅という呼び名があります。
薄餅にもやし、茹でキャベツなどのたっぷりの野菜、ピーナツ粉、煮豚、ソーセージ、薄焼き卵に黒砂糖等々、たくさんの具を巻いて作った台湾風の半生春巻きってところです。
さっぱりした後口で2,3個はぺろりと食べたくなります。

潤餅/春捲 [台湾風春巻き]潤餅/春捲 [台湾風春巻き]

春巻きって揚げてる物だけじゃないのです。

潤餅/春捲 [台湾風春巻き] を折って割いてみた潤餅/春捲 [台湾風春巻き] を折って割いてみた

この潤餅の皮は薄くて柔らかなのにもっちりとしています。中に茹で野菜などの水分を含んだ食材を巻くのに耐えられるほど。
具はお店によっていろいろと異なるようですが、写真の潤餅はキャベツ、もやし、葱、煮豚、ザーサイ、豆腐、台湾ソーセージ。そして味のアクセントともいえるニンニク、ピーナツ、黒糖です。
 
しょっぱかったり、酸っぱかったり、ピーナッツの脂っ気だったり、様々な具を淡泊なクレープ生地が包み込んでいるのです。

潤餅/春捲 [台湾風春巻き] をかじったあと潤餅/春捲 [台湾風春巻き] をかじったあと

たまにじゃりっと黒砂糖のコクのある甘みがいいアクセントで、これだけの食材を見事なバランスで食べさせるなぁと関心したほど。
最初から具を混ぜてしまうとこういう食感は楽しめません。
 
ところで、こちらは元々は中国の北方で食べられる薄餅が由来です。元々小麦文化の中国北方では薄餅を主食として食べることがあります。
薄餅で肉や野菜炒めなどを包んで食べる料理を「春餅」といい、立春の時期に食べるものです。
 
日本人は日常的に中華料理の一つとして春巻きを食べますが、
中国北方に行くと「あれは季節物です。」とバッサリです。

薄餅 クレープ巻き薄餅 クレープ巻き

華南の閩南地方では旧暦3月3日の敬祖節(清明節)に食べられます。
閩南地方は鄭成功が清軍との戦いの拠点としていた地方です。
言い伝えでは、鄭成功軍が清軍追っ払った時に、その戦いで亡なくなった人たちを祀る意味で作られたとか。
多くの死傷者がでたため、誰がいつなくなったかはわかりません。
その為、3月3日を敬祖節と定め、先祖を敬う意味で薄餅を食べるそう。
 
他にも春秋戦国時代だの太平天国の時だの、節はいろいろあるようですが、
旧暦3月3日に潤餅を食べるのは、閩南地方、さらに閩南から渡ってきた
漢人が多い台湾では共通です。
中国北方の「春巻」の意味で、春節でも食べますし、
さらに各地で春巻き専門の人気店があるように日常食にもなっている。
 
また、かつて中国閩南地方から華僑として東南アジアに渡った人が多いため、
シンガポールやマレーシアにも伝わっています。その名も「ポピア」。
薄餅のボーピンという音が変化してポピアと呼ばれております。
閩南のオリジナルに比べ、ソースが少し甘めの仕上がり。
またクレープ生地に先に塗り込んである場合が多い気がします。
 
そして、皮が米粉になり、生野菜や蝦を包んで食べるのが生春巻き。
米所のベトナムやタイではこっちの方がポピュラーですね。
 
こう考えると日本では揚げた春巻きばっかりが定着しているのは不思議ですね。
台湾や閩南の春巻きはいわば半生春巻きというところでしょうか。
具がタップリで食べ応えがあって、なおかつローカロリーというところで、
私は台湾(閩南)風が一番好きです。皮を作るのが難しいので日本じゃ食べられませんけど。
 

南台春捲

南台春捲  高雄 鳳山 店舗外観南台春捲  高雄 鳳山 店舗外観

高雄市 鳳山区 五甲一路12号 tel:07-7453415
 
高雄の鳳山にある春巻きの有名店。
様々な味や食感の具を絶妙な配分で巻き込んでくれます。
このお店のもう一つの名物は魚のつみれ汁です。
春巻きは野菜が一杯はいるので、春巻き+スープを食べれば
食のバランスもばっちり!