インドネシア

スプ・チョト,コンロ,キキル sup konro dan kikil, coto [南スラウェシの伝統スープ3種]

スプ・コンロ 牛スペアリブスープ
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スプsup/sopはスープを指すインドネシア語。チョトcoto、コンロkonro、キキルkikilは恐らくこの料理の発祥の元であるマカッサル周辺の言葉で、チョトは牛肉と内臓のスープ、コンロは牛のスペアリブのスープ、キキルは牛すね肉のスープです。それぞれメインの部位に合わせて選んだスパイスを炒めて香りを立てた後、メインの具材を煮込んで作ります。
それぞれこってりしているように見えますが、肉や内臓等の臭みは綺麗に取り除かれ、スッキリとしたうまみが溶け出しており、口当たりはとてもさっぱりとしています。二日酔いの時にすすると思わず「アー」とか声が漏れそう。いや、あり得ませんけどね。(ムスリムの方に怒られてしまう。)
レモンなどでお好みの味に整えてから、ご飯やブラス(米で作った粽)と一緒に頂きます。

スプ・コンロ sup konro マッカサル風牛骨スープスプ・コンロ sup konro マッカサル風牛骨スープ

マカッサルの伝統料理。マルクでも流行ってます。

スプ・チョト sup coto 牛の内臓のスープスプ・チョト sup coto 牛の内臓のスープ

これらの料理はスラウェシ島のマカッサル周辺の伝統料理です。
伝統的にはハリラヤ・ハジ(巡礼祭、犠牲祭)やイードル・フィトル(ラマダン明けの大祭)の時に作られるものでしたが、現在は、マカッサルをはじめとしたスラウェシ島やマルク州などの周辺の島などでもこれらを専門とした食堂で食べることができます。
 
チョトの原型は「ガンタラgantala」と呼ばれる馬の臓物スープです。

スプ・チョト 牛の内臓のスープ 具材アップスプ・チョト 牛の内臓のスープ 具材アップ

ガンタラは馬の内臓を刻んだ物をコロン・ブッダまたはウリン・ブッダと呼ばれる素焼きの鍋で塩だけでコトコト煮込んだもの。スパイスはほとんど入れませんが、ウコンなどは少し使うこともあるようです。
 
これが転じて出来たチョトも正式には素焼きの鍋(壺)を使い、牛や馬の臓物を煮込んで行きます。
ガンタラと違うのはスパイスを多用すること。
レモングラス、コリアンダー、ニンニク、ガランガル、ナツメグ、丁字等々、40種類ものスパイスを使うことで、臓物の臭みもなく、サッパリしながらも味わい深いスープに仕上がります。
臓物だけでなく、脳みそを入れる場合もあるそうで、コク深くまろやかになりそう。
 

スプ・コンロ sup konro 牛スペアリブスープスプ・コンロ sup konro 牛スペアリブスープ

コンロは簡単に言うと牛骨スープ。牛のスペアリブを使ったスープです。
スペアリブなので、バカールつまり焼いて食べることもありますが、骨ごとぶち込んでスープにしても美味です。骨に付いた肉をこそげ取りながら頂きます。
 
コンロは、まるで醤油を使ったかのような黒っぽい色をしていますが、これはクルワックkluwakという木の実の色です。
ジャワ島にもこのクルワックを使ったラウォンrawonという真っ黒いスープがありますが、コンロと色合いが似ています。
 

スプ・キキル sup kikil 牛すねスープスプ・キキル sup kikil 牛すねスープ

最後に牛すねスープのキキル。
こちらは、今時女子ならコラーゲンとか騒ぎそうなそんな感じ。
添えられた骨にストローが刺さっているということは、そうです。
骨髄の髄液をストローでずずっとすするのです。
 
キキルは牛のアキレス腱のとこで、パダン料理屋などではスパイス煮込みで食べさせてくれたりもするようです。

スプ・キキル sup kikil 骨髄をストローで飲むスプ・キキル sup kikil 骨髄をストローで飲む

私はマカッサル風の煮込みのお店で食べたので、キキルもスプでした。
 
ちなみに私が食べたのは、マルク州の州都アンボンです。
アンボンには町の中心部の外れにマスジット・ジャミ、マスジット・ラヤ・アルファタと大きなモスクが並んでいるエリアがあり、周辺にマカッサル料理を食べさせる食堂が点在しています。
 
マルク州とスラウェシ州はお隣なので、食材や調理法に共通項がよくありますし、
こうやって、御隣の島の伝統料理が簡単に渡ってきます。
次回は是非、本場のマカッサルで食べてみたいものです。(そのときは項目分けます(笑))