![茯苓糕 fú líng gāo [廈門風蒸しカステラ]](https://w-foods.com/wp-content/uploads/2012/04/P1210080wp-800x300.jpg)
茯苓糕 fú líng gāo [廈門風蒸しカステラ]
茯苓fu lingとは漢方の生薬の一つ。利尿、精神の安定、胃腸の調整などの効能があると言われるもので、主成分が糖なので甘い味がします。糕gaoは米粉や小麦粉を使って作った蒸しカステラ。つまり、茯苓入りのカステラのことです。
まぶしいくらいに真っ白いふわふわの生地は甘さ控えめの素朴な味。また、米粉を使っているのでふわっふわなんだけどもモッチリした弾力もあって、きめ細かく舌触りが滑らか。
蒸したてのほこほこしたところをほおばると顔がほころびます。中国南部廈門の名物菓子です。
こちらのカステラ。実は町歩きをしていた時に見つけました。
若い女の子が豆腐のようなものを食べながら歩いていたのです。
「え?なに?豆腐?」ととまどっていると、その先でこれを売る
おじいさんを見かけた。
弱めの炭火で蒸気を送った台の上になにやらガーゼに包まれた物体。
ひっくり返した洗面器の様な形で、それをナイフで四角く切っています。
そう。これが女性が食べ歩いていた「豆腐」の正体だったのです。
通常、カステラを初め小麦粉を使ったケーキ類は黄色いですが、
こちらは目がちかちかするくらい真っ白。
中華菓子は脂っ気の強めな物が多い中、これは甘さが控えめで、
きめ細かな食感が小麦粉を使った蒸しパンよりも絶対うまいです。
一説にはこちらは鄭成功縁のお菓子なのだそうです。
別名で复明糕ともいいます。
鄭成功は台湾や廈門などを拠点にして清国と戦っていました。
合い言葉は「抗清复明」です。(清を倒してもう一度明るい未来を!って感じ?)
その抵抗運動の和を広げたのがとある商人が売っていたカステラ。
カステラの中に抵抗運動の日時や場所が書かれた紙切れが入っており、
商人がカステラを切り分けて売りながら、情報を広めたらしい。
そして「复明」と「茯苓」の発音が似ていることから、茯苓糕とも呼ばれようになったそうです。
(つまり、もしかしたら当時は(今も?)茯苓は入ってなかったのかもしれませんね。)
茯苓糕は間にあんこなどを挟んだサンドイッチのようなものもありますが、
廈門では鄭成功の時代の名残を残し、洗面器のようなでかい容器で作ったものを
道ばたで切り分けて売ってくれるのですね。
鄭成功がこのカステラを使って抵抗運動を広げたという同安では見ませんでしたが、
大陸を仰ぎ見る15.7メートルの巨大な鄭成功像がそびえ立つコロンス島で食べられます。
私は小麦粉で作ったカステラよりも断然好きな味でした。
モッチリしていて美味しいです。是非、どうぞ。
記事はいかがでしたか?
更新の励みになりますのでソーシャルボタンで共有していただけたら嬉しいです。m(_ _)m