ソムส้มは酸っぱい。タムตำ=叩く、搗くという意味のタイ語。熟していないパパイヤを細くそいで唐辛子やニンニク、マナーオ(ライム)などで和えたもの。ひっくり返してタム・ソムとも言います。
生のパパイヤのしゃくしゃく感と酸っぱくて辛くて甘くてしょっぱいたれのバランスが絶妙なおかずです。ぴり辛よりもうちょっと辛く、サラダというより酒のつまみっぽい。
バックフン(パパイヤ)の他、マムワン(マンゴー)やテンクワー(キュウリ)を使うこともあります。
青いパパイヤのサラダ。すっぱ辛くてうまい。
この料理は元々は東北タイ(イサーン地方)料理でしたが、今や全国的に広がり、タイの国民食になっていて、ほとんどのタイ料理レストランでメニューに掲載されています。
また石臼とスパイス類をずらっと並べた屋台をみかけたら、大抵ソムタムがあります。
東北タイは生活文化圏がラオスに入り、タイ中央部とは大きく異なります。
食材の幅も広く、鶏、豚、牛肉などの肉の他、メコン、チー、ムーン川の川の恵み、タンパク源として昆虫食の習慣もあるほどです。
さらにカエル、田ネズミ、トカゲ等、野山の恵みも食材にしてしまいます。
また、食材を漬けたり、発酵させる技法もよく使われます。発酵させる技法は中央タイでは余り行われないのだそうです。
そんな背景から、ソムタムは国民食には違いありませんが、中央部と東北タイオリジナルのソムタムでは味つけが若干異なります。
東北タイでは魚の塩漬けで味付けしたり、蟹の酢漬けプーやなれ鮨プラーラーを入れたりします。
(プラーラー入りのソムタム=ソムタム・ラーオ(ラオス風) or ソムタム・プラーラー)
対する国民食のソムタムはソムタム・タイと区別され、味の決め手に干しエビを使います。
東北タイ料理は辛さと甘さのバランスが日本人の好みにぴったりで、タイ料理が苦手な人でもすんなりと食べられます。焼酎、発酵食品、甘辛い醤油味のおかずなど、中央タイ料理より我々の文化圏に近いです。
日本では熟していないパパイヤやマンゴー自体が滅多に手に入らないので、キュウリで作るかタイ料理屋に行きましょう。