地三鮮とは文字から想像できるように畑でできた3つの美味なるもの。その「3つ」とは茄子、ピーマン、ジャガイモのことで、これらの野菜を一口大の大きさに切って素揚げしてから醤油ベースの味に炒めたあげた料理で、中国東北地方の代表的な家常菜(家庭料理)です。
油をたっぷり吸った茄子とジャガイモにこってり味のソースが絡み合い、高カロリーなのにやたらにうまい。一口でご飯が何杯も食べれそうなおかずです。
ごろごろ野菜を美味しく頂く炒め物。
中国の東北地方は高緯度にあり、冬の寒さはとても厳しい。
昔は今ほど流通網が整っていなかったため、冬に鮮度のよい野菜は手に入れにくく、とても贅沢な食事だったそうです。
茄子の旬は日本だと夏~秋にかけてなので、中国も同じだとすると厳しい冬が訪れる前に作るご馳走だったのかもしれません。
(じゃがいもはともかく、他の野菜は保存が難しいと思う。)
そう言えば東北料理やには、乾燥キノコやしょっぱい野菜の漬物など、保存食を利用した料理がとても多いけど、寒い冬の貴重な栄養源だったってことでしょう。日本の北部地方と同じです。
ほくほくに揚がったジャガイモ、ほどよい油加減で瑞々しい茄子、適度にしゃきっとした食感を残して仕上げたピーマンの組合わせが絶妙で、「3つの美味なる物」という表現には納得するのだが、これを超こってり味の醤油味に仕上げてしまうのが東北っぽい。
ご飯のおともとしては最高だけど、米が採れない地方だったから、これに併せていたのは小麦系の主食だったと思うんだよねぇ。
絶対、南部の人には「田舎料理」って言われてそうな、そんな素朴な味です。
(広東とかならもっとサッパリ味に仕上げそうだし。そういや南部で芋料理も見たことないかも。)
しかし、東北地方の家庭料理屋さんはサッパリ味のおかずが多いので、
それらのサッパリ味と組み合わせるとよいですよ。
そして主食は餃子や春餅ではなく、是非白いご飯でどうぞ。
高カロリーだけど、野菜のうまさがじゅーぶん引き出されてうまいです。
家で作るなら茄子とジャガイモを揚げた後、フライパンでピーマンと共に炒め合わせ、
醤油、砂糖、鶏ガラスープで味付けて片栗粉でとろみをつけたらできあがり。
すり下ろしたニンニクを入れる料理人もいるようですが、その辺りはお好みでどうぞ。