羊肉yang rouは羊肉、火鍋huo guoは鍋料理のこと。爐luは「炉」。炉で火にかける料理=鍋です。ぶつ切りにした羊の皮付肉や骨付肉を薬膳スープで煮込んだ後、野菜、豆腐、湯葉などを入れて食べます。
スープに入る漢方材料の種類は店によってまちまちですが、香りが柔らかで薬膳臭さがほとんどないのがびっくり。全て飲み干せるくらいの絶妙の味加減。肉はお好みでミソダレを付けるのがオツで「羊ってこんなに美味しかったっけ?!」と今までの羊の記憶を覆しました。もう日本で羊は食べれない。うますぎ!!
羊肉のお鍋。薬膳鍋だけど薬膳ぽくなくて食べやすい。
台湾でも”寒くなったら鍋料理”を食べます。その鍋が「羊肉爐」です。
夜市に行くと当帰羊湯と言われる漢方スープが行列を作っているし、家庭でも鍋をするようで具を買って入れるだけの簡単鍋の素もスーパーにずらりと並びます。(どこの国の主婦も考えることは同じ。)
羊肉は体を温める食材のため、特に好まれるのだと思います。
しかし、台湾も日本と同じで安い輸入肉が幅をきかせており、町中の羊肉爐屋さんも必ずしも台湾産を使ってはいません。
私があまりのうまさに大感動したのは台湾産の羊肉でした。
台湾で肉用羊の飼育にはとても手間暇をかけているそうで、睡眠小屋を特別に設けたり、生育環境にこだわって育て、5カ月で去勢した雄の羊肉を8~10カ月で処理場に送ります。
ビタミンなどを加えた栄養満点の飼料に、トウモロコシなどの穀物と合わせて食べさせると肉がおいしくなり、臭みがなくなる。
そう、羊肉が臭くないんです!
日本では羊の臭みをごまかすために濃いタレで味つけたりしますが、この食べ方は邪道かもと思ってしまいました。
日本料理は素材の持ち味を活かすのが大得意なハズなのに、まだまだ肉料理は中華系には遙かに及ばないのだなぁ。
ちなみに町おこしで羊肉をPRしている高雄の岡山区の場合、羊の飼育は自然に近い環境で放牧をし、予防接種もしないそうです。
そうやって手間暇かけているため輸入肉の4倍もするようですが、食べたら納得します。もう私は台湾の羊以外は食べたくありません。
日本の商社はなぜこの羊を日本に持ち込まないのだ!?中国大陸の羊鍋より遙かにうまいぞ!
ちなみにお鍋に入れるのは出汁になる皮付き肉、骨付き肉ですが、里肌肉(背骨の両側の肌に近いとこの肉)なんぞを食べると美味すぎて言葉がでなくなります。茹でて塩付けただけでも絶対美味い。
中華民国養羊協会の調査によると台北には台湾国産羊肉を出す鍋屋さんは一軒もなかったそうです。
今は高雄まで新幹線でぴゅーっと2時間で行けます。左営で降りて国鉄に乗り換えて岡山にGO!熱烈推奨!
町中羊鍋屋があふれてます。駅前のマップを参考に行くのも手です。
左の紅焼羊肉爐は台東の延平郷にある布農部落休間農場のもの。
こちらはブヌン族の人たちの自立と村おこしを兼ねた観光施設で、ブヌン文化体験や、村の産品を買ったり味わったりできます。
野菜は無農薬(無毒という)、羊も牛も自分たちで牧場で育てた物。つまりこちらも国産の羊を使った鍋です。紅焼は醤油煮込みのこと。
スープとタレの味は高雄の方が好みだけど、こっちも間違いなく美味い。そして何より台湾の少数民族文化を知ることもできます。
輸入羊肉を使った煮込みも処理の仕方や煮込む漢方の配合なのか、日本で食べるのよりは美味しいですが、肉の柔らかさとうまみは台湾産のが桁違いです。
ところで台湾では羊と山羊は区別されないようです。
日本では沖縄がそうであるようにかつては島中で山羊が飼われていて、食べられていたとか。
現在は飼育が減ったためにニュージーランドやオーストラリアから羊を輸入しているそう。
つまり羊肉と言う場合、羊を使っている場合と山羊を使っている場合があります。
前述の岡山の羊鍋は実は山羊鍋でした。輸入の場合は羊、国産の場合は山羊を使ってるのが多いかもしれません。
源坐羊肉
高雄県岡山鎮寿華路1号 tel: 07-621-1036
台鉄岡山駅から徒歩15分くらいの場所にあるのお店。
初代店主は羊肉屋の娘だったため、羊肉の料理を熟知しており、お店を開いてしまったそう。
現在は40年続く台湾では老舗にはいるお店。(岡山にはもっと古い羊屋もある。)
地元岡山産の羊しか使わないと言うこだわりのお店で、
鍋がうまい、肝が美味い、腸の酢の物がうまいと大喜びで食べていたら、
お店が最も自慢にしている里肌肉(それも一番素材の味がわかりやすい白肉片)を
サービスで戴いてしまった。ひえ~、こんな美味い羊があったとは。
何食べても美味いけど、人数が多いといろんな種類が楽しめていいですよ!
布農部落休間農場
台東県延平郷桃源村11-191号 tel:089-561211、fax: 089-561367
台湾の少数民族のブヌン族の文化の継承とブヌン族の自立を目的に設立された観光施設。
民族の人たちの自活&現金収入のために農産物の無農薬栽培や家畜の飼育、さらにそれらを加工品にして販売したりしています。羊も村の農場で育てたそうです。
若いスタッフがコーラスショー(ブヌン族は農作業で自然に生まれた八重唱で有名)のステージに立っていたと思ったら、売店で働いてたり、レストランの給仕をしていたりと、がんばっていました。