豊富な漁場に囲まれた海洋国家インドネシアの中でもインド洋のカツオや鮪が沢山取れるスマトラ島の最北端アチェ州に行きました。
たまたま通りがかった食堂にとれたてのカツオがバケツで大量入荷。恐らく翌日のメニュー用に仕入れたカツオだろうと思いますが、「もしかして焼いて貰って食べれる?」と聞いたら「勿論!」との返事。晩ご飯の予定を変更して、イカンバカール定食に決定です。
カツオを丸ごと一本なんて日本ではスーパーで見ること滅多にありませんので(だってでかすぎる!)、なかなか新鮮でした。
鰹をまるごと豪快に一本焼き!
イカンバカールを作るための高床式の焼き場です。
ココナッツの殻をとっておいて、それに火を付けて使います。
日本では火をおこす時に新聞紙などを使いますが、油をふりかけて火を付ける。
兄さんの横にあるペットボトルは油です。
油からココナッツの殻に火が引火するまでしばらく待ちます。
拡大してみると真ん中に火がくすぶっているのが少しわかります。
大胆に油をどわーっとかけたので大炎上。
こうなるので焼き場に屋根がいるのだな。
料理などに使ったココナッツなので表面は乾いていますが、
中身はまだ水分が残っているのかもしれません。
派手にもやした後、炭にします。
ココナッツの殻が炭のようになったところで魚をオン。
カツオを網に挟んで炭火でじっくりと焼いていきます。
マーガリンを塗りながら焼くのがウェー島流のようで、
カツオでない他の魚をイカンバカールにする時もマーガリンを塗りたくってました。
焦げないようにかもしれませんが。
できあがったカツオ一本焼きです。豪快です。
日本では滅多にお目にかからないお姿であります。
これだけみると、アジか何かみたいにみえちゃいますが、
幅は30センチ近くあるでっかいカツオです。
日本だと、刺身にせよ、たたきにせよ、4人前くらいの量ですかね。
こちらはカツオの一本焼きに添えられたたれです。
インドネシアの甘い醤油ケチャップマニスにニンニク、トマト、玉葱、唐辛子のみじん切りをいれたもの。 仕上げに少し酢を効かせているのがアチェ風。アチェの料理は酸味を効かせるのが特徴です。 唐辛子は赤と舌に突き刺さるように辛い青唐辛子を両方使います。
このソースが実にうまかった。これはサンマなどの青魚にも合うと思う。
イカンバカール定食のできあがり。(ホントにカツオに見えない・・・。)
ソースの皿ですら直径12cmくらいあるんですよ。全体に大きいのです。
付け合わせに添えられているのは野菜をココナッツミルクで煮込んだおかずで、
食堂で提供していた物の残りです。
残り物なので野菜の量が少ないのが残念。(でも冷えててもうまいのよ。)
カツオの身をほぐしてみました。
これをアップにするとようやくカツオっぽく見えてきます。
ぷっくり太ったカツオをここまで綺麗に火を通すのですから、
注文してから1時間くらいは待ちました。
のんびりなのです。南の島ですから。
ごはんのうえにカツオの身をでーーんとのっけてソースをたらり。
そーすはご飯に染みても美味しいですよ。絶妙な味加減なのだ。
時間はかかりましたが、見事に食べきりました。ご臨終。
所変わってこちらはバンダアチェの河口付近にある漁船のたまり場で見た魚の天日干し現場です。
インドネシアでは日本のように生魚を食べることはあまりありません。
おそらく冷蔵設備、冷凍設備が整った漁船が少ないからだと思います。
その為か魚を日持ちさせるために薫製にしたり、天日干しにしたりします。
ちょうど魚のヒレや皮、身などを船の上で天日干ししているところを通りかかりました。
こちらは天日干しにした魚の加工品です。イカンカユといいます。
バンダアチェではケウママkeumamahと呼ばれるカレー味の煮込みにして食べるそうです。私が訪れた食堂では新鮮な魚を使った煮込み料理ばかりで、乾物を使ったケウママはなかった。家庭料理で食べられるものなのかもしれません。
バンダアチェのお土産物やさんで綺麗なパッケージに入った物を名物として売っています。
パッケージのイラストを見る限りカツオか鮪辺りをイメージしてそうですね。
カツオはインドネシア語でイカン・チャカラン ikan cakalan。鮪はイカン・トンコル ikan tongkol。
それぞれ区別されているようですが、カツオのことは英語でツナって説明されました。
まー、日本でもツナ缶にカツオフレークも鮪フレークもあるので似たようなもんすかね。