同安tonganというのはアモイ市内北部の町の名称。封肉fengrouは豚肉を布巾で包み込んでから煮込んだ料理です。
豚の太腿肉を皮付きのまま15cm角くらいの大きさで四角く切り分け、干した牡蛎やエビ、蓮や栗の実、椎茸などと共に醤油ベースの煮汁で弱火でことこと長時間煮込みます。
豚は箸を入れただけで崩れ落ちるほどに柔らかくなり、肉はほろほろ、皮はねっとり、そして脂が抜け落ちた脂身はふるふるとしたゼラチン質の塊。一緒に煮込まれた栗のほこほこした食感や椎茸の弾力もアクセントになります。日本にはなかなかない味です。
箸でほろりと崩れるほど柔らかく煮たふるふるお肉。
同安というのは閩南地方の古都です。
現在でこそ港湾都市として栄えたアモイに入っていますが、かつては同安の方が大きな都で、アモイが同安の一部だったそう。
封肉はその同安に昔から伝わる名物料理です。
料理の発祥には諸説あるようですが、大昔の国の統治者(皇帝?)が閩南地方の統治者に方形の大印を与えたそうです。
宴席で作られた豚煮込みがこの方形大印に形が似ており、その上、布巾で包み込んで煮込む調理法が、「権力で封じ込める」という意味に通じ「封肉」という名前がついたそう。
現在はアモイや閩南地方の名物料理として根付いており、結婚式や家の新築祝いなどのお祝い事で食べられる他、レストランや食堂だけでなく、アモイ島の市場などでも屋台を引いて売り歩いている人なども見かけました。
しっかりとした味なのでその場で買い食いするような軽食というより、買って帰っておうちでご飯のおかずにして食べたい感じ。だって、絶対に白いご飯と一緒が合う!のだ。
日本では豚肉の太腿の部分の肉はあまり出回っていませんし、
ましてや皮付きで煮込んで食べることなど滅多にありません。
それこそ最近流行のコラーゲンがタップリだけども、家庭で調理するにはめんどうかも。
中国では肉は事細かに部位がわけられ、その肉質にあわせて様々な調理法が採られるようです。
豚肉の太腿料理は上海近郊の龍蹄に続いて2回目。
同じように砂糖醤油ベースの煮汁で煮込んだ煮込み料理ですが、
今回の封肉は龍蹄よりもずっと軟らかく、時間をかけてじっくりと煮込まれています。
肉好きの方はアモイに行ったら是非、食べてみてください。
薄餅捜
廈門市同安区銀湖中路西渓里173-174 祥福花園1号楼
アモイの同安地区にある薄餅で有名なレストラン。同安のバスターミナルの近くで、BRTなら終点の一つ手前の城南駅で降ります。祥福花園という団地の1号棟の1階に入っています。
ビルの中に入っている割りに内装はアンティーク。ドラマ(か映画)の撮影にも使われたことがあるそうで、オーナーのおばちゃんが撮影現場の写真を見せてくれました。(中国の有名俳優らしいのですが、知らなかった。)
薄餅や封肉以外にもこの地方の名物料理がいろいろあるので是非大人数で「夜に」また行きたいお店。住所がなかったので探すのに苦労しました。