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土筍凍 tǔ sǔn dòng [スジホシムシの煮こごり]

土筍凍 tǔ sǔn dòng [スジホシムシの煮こごり]
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土筍凍tu sun dongという名称を見ると漢字の読める日本人は「タケノコの冷製料理?」と想像しますが、実は土筍というのは海中にいる無脊椎動物星虫の仲間であるスジホシムシのこと。そのスジホシムシを氷の中に閉じこめたかのように煮こごりにした料理です。
おしゃれに言えばゼリー寄せ。そのゼリー寄せにチリソースとマスタードソースをかけて頂きます。
中国福建省の軽食で、町中の屋台や海鮮料理屋で食べられます。原型を知らなければ何も問題もない。

土筍凍 スジホシムシの煮こごり土筍凍 スジホシムシの煮こごり

海中の軟体生物!食べ方も面白い。ゼリー寄せです。

土筍凍 スジホシムシの煮こごり 断面土筍凍 スジホシムシの煮こごり 断面

写真の料理は中国福建省の玄関口アモイで戴いたモノ。
アモイに駐在したり旅行したりする日本人が必ず紹介するため到着後のいの一番に有名店に食べに行ってしまいました。
 
どこのお店でも丸い型に流し込んで作るようで、半球状の作り。
直径2cmの小サイズ~8cmくらいの大きさに作るのが一般的です。
 
星虫自体にゼラチン質の成分が含まれているようで、ゼリー状に固めるのに寒天などは必要としないそうです。

土筍凍 スジホシムシの煮こごりをフォークで突き刺す土筍凍 スジホシムシの煮こごりを突き刺したとこ

下味を付けた水で煮込んで冷ますと固まってゼリー状になるそうだ。
 
鶏や豚の足を煮込んだ汁も冷ますと固まって煮こごりになるが、獣系の煮こごりと違い、スッキリとした味わいで上品な仕上がり。
星虫自体は煮込むとすっかり縮んでしまい、灰色に変色。内容物のない腸の様に真ん中が空洞のひも状になってしまう。
パッと見はタコの足や吸盤みたいにみえます。

沙虫の原型沙虫。加工前の状態はこれ。

煮込むことで体の水分が浸透圧で抜けていくんだろうけども、元々体の中が空洞なので水分が抜けても固くなり過ぎることなく、噛むとむちむちとした弾力を口の中に感じつつぶっつりと切れる。
この面白い歯ごたえとゼリーのうまみと食感が受けているらしい。
 
お店のショーケースに並んでいる土筍は調理済みのモノですが、海鮮料理屋に行くと洗面器の中に調理前の星虫が鎮座しています。

海腸 ユムシ海腸 ユムシ。似てるけど違う。

このピンク色のうねうねの物体を見るとどん引きしてしまいますが、世の中にはタコを悪魔の食べ物という人たちもいることですし、たこ焼きの中身を見て「なんじゃこりゃーー!」という気持ちは、きっと日本人が初めて星虫を見た時と同じだろう。
海の中で見かけてもなんとも思わないけど、食材となりますと洗面器いっぱいいますからね・・・。
 
ちなみに似たような無脊椎動物に「ユムシ」というのがいます。
こちらも大連などの海鮮料理屋では人気の食材です。
地方によってはこのユムシとホシムシを区別せず、両方とも炒めものなどにして食べるそうです。
 
どちらも見た目は結構グロいですが、食材と意識してしまえば問題なく。
なまこもタコもイカも食べる日本人です。チャレンジしてみてはどうでしょう?
 

西門土筍凍(西门土笋冻)

西门土笋冻 西門土筍凍西门土笋冻 西門土筍凍

住所:廈門市思明区斗西路33号 tel: 0592-8650170
 
廈門で最も人気のある土筍凍の老舗専門店。
かつては間口数メートルの小さなお店だったそうだが、拡張していた。
政府にも廈門の名店として認定されており、廈門の観光パンフレットの名物紹介にも載っています。
メニューは土筍のゼリーが大・中・小とあり一皿10元。(ゼリーの大きさにより個数が変わる。)その他、豚の煮こごりや海草、廈門名物のゆでだこなどもあります。基本プルプル系ばっかし。
ビールも置いているのでちょっと軽く一杯なんてこともできちゃいますよ。