家常は日常、涼菜は冷菜をさす中国語。家庭で日常的に食べられる冷菜で、中国東北地方では多くの場合、拉皮la piと呼ばれるジャガイモやさつまいもの澱粉を板状に固めてから切った平べったい麺のような素材とキュウリを酢や醤油で和えたサッパリとした和え物が出てくることが多いです。
拉皮のむっちりとした弾力とキュウリのシャキシャキとした歯ごたえのバランスが面白く、日本ではなかなか味わえない料理です。東北涼拌菜という名前のこともあります。
日本で言うこんにゃく的な食べ物かね。
拉は引く、引っ張る、皮は薄くて平たいものという意味を持ちます。
弾力だけで言うと緑豆の澱粉で作った春雨もにたところがありますが、乾燥させたものを戻して使うのが一般的な春雨に比べると、
水分が抜けていない分、ぷるんぷるんと箸の中で踊り逃げます。
また厚みは3mmくらい。幅は2cmくらいのものが一般的で、かみしめるとプツンと切れる細い春雨とは違って、口の中でねっとりと絡みつきながらぶっちんとちぎれるのです。
特にジャガイモの澱粉は粘度が強く、糊化すると無色透明になります。
見た目も涼しげでしかも食感が面白いから冷菜に重宝されるのでありましょう。
ジャガイモの澱粉を水で溶かし、少しずつ加熱しながらゲル化して、バットに広げて冷ますなどすれば家庭でも簡単に作れそうです。
ただ、中国でも拉皮はお店で買ってくるのが普通のようです。
半生の物や乾燥した物を戻して使います。
珍しいところではどんぐりの澱粉で作ったものもあるようですが、どんぐりって・・・。あまり美味しくなさそうだな。
中国東北地方の料理の濃い味つけに飽きたらこの料理を是非どうぞ。
キュウリだけでなく、キクラゲや干豆腐など具だくさんの場合もあります。
特に夏場に食欲がない時にはオススメの料理です。
また、店の看板に「家常菜」という文字がつく料理は家庭料理のお店で、
全体に味つけがサッパリとしていて日本人の口に合います。