ブルムberamというのは米やキャッサバを発酵させて作ったお酒のこと。作りたてはしゅわしゅわっと細かい泡が残る生酒で、いわゆるインドネシア版のどぶろく酒のことです。
アルコール度数は10%以下と日本酒よりも低く、甘い味でジュース感覚で飲めてしまうほど飲みやすいのですが、そこはお酒。やっぱり飲み過ぎると酔っぱらいます。
旅行者はバリやロンボク島などで特によく出会うお酒です。
イスラム教徒が多くても、国教じゃないから酒はある。
ブルムはタペという老若男女が大好きなお菓子から作られます。
茹でたキャッサバや蒸した餅米に麹を混ぜて発酵させたのが、タペ。
ほんのりアルコールの香りがしますが、お菓子という位置づけで、イスラム教徒の間でも誰もが口にできる食品です。
そしてこのタペの発酵が進んでくるとにじみ出てくる液体がブルム。
このタペを絞って液体を取ればお酒になるというわけです。
バリに行くと観光客向けレストランでメニューにある場合もあるし、空き瓶に入れ、口をラップで止めて店で売られていることも。
ただし、陳列棚に並んでいる間も発酵が止るわけではないので、へたすると変質していることもある。(おなかが弱い人は注意。)
道ばたにあるスコールよけの小屋で男たちが集まっている時は、大抵このブルムを片手に宴会をしています。
面白いのはバリヒンドゥが主流のバリ島だけならいざ知らず、ムスリムが大半のロンボク島でもこの光景を見るところです。
ロンボク島は14世紀頃、バリ人に侵略されて支配されていたため、その頃に酒のみの習慣が入ってしまったのか、それとももっと前、イスラム教がインドネシアに入ってくる7世紀以前からブルムが食習慣に入っていたのか、その辺りはわかりませんが、しゅわーーっと軽くて飲みやすいブルムは食前酒にもぴったり。
お酒が嫌いでなければチャレンジしてみてください。
ただし、生酒なので、取り扱いがきちっとしているお店か、作りたてを酒蔵から直接買うようにしないとコワイです。
2リットルで100円くらいですけど・・・。
買うなら、人数集めて宴会を薦めます。
ちなみにロンボク島のギリアイルのワルンでブルムを1杯頼むと、親父は瓶いっぱいのブルムを抱えて帰ってきて、1杯をこちらに出し、残りは全て親父が飲んでしまいました。
その日のウチに飲みきらないとだめになるってことでしょうね。
つまり、親父の分も私が払っていたということになる。
なんとなく腑に落ちない感じがするのだが・・・。冷蔵庫ない店だしな~。