ルンプットrumputが草、ラウトlautが海という意味のインドネシア語。海藻の総称です。
写真は日本では海ぶどうという愛称でおなじみのクビレズタ。インドネシアでは地方によって呼び名が異なり、ジャワではラトLatoh、スラウェシではラウィ・ラウィLawi-Lawi、マルクではラモン。俗称としてはラウト・アングール(海ぶどう)、ヒジャウ・キャビア(緑のキャビア)とも言われます。
生でも食べられますが、インドネシア風の料理では湯通しした海ぶどうにニンニク、玉葱、レモン汁、唐辛子などでピリ辛マリネにします。
魚料理などの付け合わせとしての栄養補給に是非どうぞ。
沖縄名物の海ぶどう。インドネシアでも売るほどある。
最初に食べた海ぶどうはマルク諸島のケイ・クチル島でした。
日本ではほんの一握りで数百円する海ぶどうが市場で一盛り40円と破格値で思わず買って帰って宿でつまみにしました。
湯通しした後、持参した日本の醤油とわさびで食べましたが、市場でライムやレモンを買ってきても良かった。
ケイ・クチル島では、ニンニク、唐辛子、玉葱、レモン汁のマリネにしていました。
スラウェシで食べた方によると、ココナッツの絞り汁も加えるそう。このとき、湯通しはしますが、ほとんど生に近い食べ方をするようです。
ケイ・クチル島と同じ地域のタニンバル・ケイ島では、湯通しというよりボイルに近く、削ったココナッツの果肉と共に玉葱、唐辛子、スパイス類で和えてありました。
この島でも漁師さんの現金収入の手段として海草の養殖が行われていました。
他にインドネシアの海藻類でよく見かけるのは紅藻の仲間。キリンサイ、コットニー、テングサ、オゴノリなどの加工用のもの。
これらの加工品は食品や伝統医学の薬剤に転用できるため、自らの食用としてではなく、島の産業として養殖されています。
これらは寒天の原料というイメージですが、その他にも様々な加工食材、例えばアイスクリームの粘性素材や珈琲の安定剤など、食品以外でも化粧品や歯磨き粉などにも使われるようになっており、ほとんど世界中で需要があるのです。
海藻の養殖が多い地域はリアウ、ロンボク、スラウェシ、パプア、マルク。
以前調べたところ、マルクは海藻養殖の78%を占めるという論文があったり、マルク州のwebサイトでほとんど島中全部?と言いたくなるくらい島を囲むように海藻の養殖場があるという報告がありました。
実際、海上に紅藻の養殖場の目印として浮かぶ浮きを頻繁にみかけました。
ただインドネシアの海藻養殖は「フィリピンに遅れてる!」そうで、ニュース記事等では「もっと力を入れるべき!」とそのマーケットの大きさを力説しておられた。
養殖場を作るのに高価な機材や技術がいらず加工品の幅が広いので、漁民の生活向上に大きく役立っているようだ。
ちなみに紅藻系が世界中に輸出されているのに対し、海ぶどうの主な輸出先は日本。
我々、本土の人間が「沖縄の食材」としてありがたがって食べるので、近年、海外産の海ぶどうの瓶詰めも輸入されるようになっているらしい。
インドネシアでは20ドル/キロ程の海ぶどうが日本では100ドル/キロでマレーシアや香港の投資家がインドネシアの海ぶどう養殖場への投資を模索しているとかなんとか。
「海ぶどうは健康にいい!」と力説されたし健康食材としての認知度があがるかも?
インドネシアってとにかく広い島嶼国家なので、離島でなかなか産業が成り立たない。
海藻はそういう意味では離島の島民の生活を救う救世主なのかもしれません。