イカンikanが魚、クニンkuningは黄色。そしてクアkuahが汁物やあんかけなど水分が多く残る調理法を指します。魚を塩味だけでシンプルに煮付けたスープ料理で、ほんの香り付け程度にターメリックが使われています。
体長50cmはありそうなでっかい白身魚のぶつ切りだったため、食べたい部位を好みで指差しチョイス。フルフルの唇も脂の乗った魚の身も絶妙な塩梅で、インドネシアの魚=サンバルで食べるという思いこみをひっくり返した料理。むちゃくちゃうまいです。
魚をターメリック色に煮込むけど、カレー味じゃない。
これはインドネシア東部のマルク州の郷土料理。
マルク諸島はインドネシア他地域とは全く異なる食文化が残っていて、その味つけのシンプルさにとにかく驚かされました。油や香辛料を多用せず、地の材料のシンプルな調理が多いのです。
例えばこの魚は、味つけに使われている調味料は塩のみ。
ターメリックは熱帯アジア原産の生姜の根茎。日本でも魚の煮付けには生姜が欠かせませんが、ターメリックも煮魚の生姜と同じ役割を果たします。
黄色く色づける役割意外にも臭み消しの効果もあるのです。
魚を丸ごと煮付けているため、うまみが汁一杯に溶け出していて、魚のあらなどから溶け出したうまみが身に染み渡っています。
冒頭はマルク州の州都アンボンの食堂の物。
私が行った時間は昼時から少し外れてしまったため、どまんなかが売り切れでしっぽと頭の方しか残ってなかったけど、汁を吸い込んだどまんなかの身が一番人気なのかも。
頭の方はコラーゲンたっぷりの目玉や唇が付いているし、しっぽは引き締まった身が格別。一概にどこがいいとも言い切れません。
二つ目はマルク州のはずれ、ケイ・クチル島の宿飯。こちらの魚は弾力があって骨離れが悪いブリンブリンとした白身魚で、日本では食べたことのない食感でした。
味付けはシンプルに塩とターメリックでしたが、とにかく身と格闘せねばならず、肉を食べているかのよう。こういうのも煮魚にするようです。
また、インドネシアは食事に米が欠かせない米食文化の国ですが、マルク諸島では米ではなく伝統的に芋類が食べられてきました。
その為、マルクの伝統食を食べさせてくれるワルンは、米ではなく芋類を提供してくれます。
キャッサバ、タロイモを茹でた芋類やサゴ椰子の澱粉から作ったパペダと呼ばれる粥などが主食として食べられます。
主菜は焼いた魚や煮た魚。副菜の野菜は茹でた野菜を塩とレモン、魚フレークで和えた物等。
塩漬け干し魚をほぐしたフレーク状を野菜に和えるので、魚が抜群の調味料に変身している。
島の周りで採れてきた食材を使い、塩をベースに味付けというのがこの辺りの伝統的な食事です。
油が全く使われておらずあっさりしていて、日本人は絶対大好き。
ジャワやバリで食べてきたインドネシア料理っていかにもエスニック。たまに食べると旅気分に浸れるし、食事の幅が広がって楽しめるけど、毎日食べたい味ではありません。
西洋人観光客も多いし華僑も多大なる影響を与えている。
野菜の和え物もすり潰したナッツでコクを加えたりして全体に味は濃い。
マルクの伝統食は、毎日でも食べられるお総菜です。バリエーションは余り無いかもしれないけど、また食べたい!と思わせてくれました。魚も野菜もうまかったな~。
和え物はパパイヤの花以外は材料手にはいるし日本でも作れそうです。
私は芋を食べてみたかったので芋を選びましたが、たぶん米もあります。
その辺りは現在の食卓に合わせてあるようです。(食べている人いたはず。)
ルママカンパラダイス(日本語訳するとお食事処楽園)
Jl PH Latumahina, Ambon, Maluku, Indonesia
マルク州の州都アンボンにあるアンボン料理を出すワルン。
アンボンは、郷土料理を出すお店は少ないのですが、インドネシア語はアルファベット表記なので町歩きで偶然見つけられることもある。
このお店はロンプラにも載っていて営業はランチのみ。
運動場の近くのお店は逆に夜に通りかかったときだけ開いてました。
またアンボン島東部のワアイ近くの港の周辺にはパダン料理店が並んでいますが、よく探すとショーケースにアンボン料理が並べられたワルンもあります。
アンボン料理をだす屋台やさつまいもやタロイモがおかずと一緒に並んでいるのが目印です。