インド

タンドーリ・チキン tandoori chicken [鶏のヨーグルトスパイス漬け窯焼き]

タンドーリチキン
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

タンドーリはタンドールと呼ばれる素焼きの窯で焼かれた料理の総称。生姜、ニンニク、クミン、唐辛子などのスパイス類と塩を混ぜたヨーグルトにつけ込んだ鶏肉を串刺しにしてタンドールで焼いた料理で、日本のインド料理屋などにも必ずあるので知名度が高い。
料理人は時々串をくるくると回したりしながら焼き加減を調整し、窯の遠火で鶏肉を焼き上げることで、鶏肉の余分な油は窯の底に落ち、表面は香ばしく、中はジューシーな焼き鳥の完成です。
肉に味がついているので何もつけなくても美味しいけど、ライムをきゅっと搾って、生玉葱のスライスと一緒に食べるのが定番です。

タンドーリチキンを焼いているところタンドーリチキンを焼いているところ

日本のインド料理屋でもおなじみ!北インドの料理!

タンドーリチキン モティマハルタンドーリチキン モティマハル

タンドーリ・チキンはインドを代表するムガル料理の一つですが、今のようなタンドーリ・チキンが生まれたのはインド独立後です。
 
イスラム系のムガル人がインドを征服した時、ヒンドゥスタン、中央アジア、ペルシアの食材と料理法が合わさってできた贅沢な料理がムガル料理。
全体に味が濃く、油分も多くてこってりとしています。
 

デリーのモティーマハルのミックスタンドーリ(串焼き各種デリーのモティーマハルのミックスタンドーリ(串焼き各種

ムガル人は牛や羊を食べましたが、ヒンドゥ教徒には牛は神聖な生き物。
牛肉食などとんでもないし、牛から作り出されるもの全てが神聖でした。
(牛乳、バターなどは言うに及ばず、糞尿もその中に含まれたそう。)
 
結局、ムガル人がインドに居を構えてから様々な紆余曲折を経た上で、肉は羊、山羊、鶏などを食べることで落ち着いたのが現在の姿でしょう。
 
宮廷にペルシアの料理人から肉にヨーグルトを漬ける技法が伝わり、インド風に香辛料が加えられた料理法が定着。

タンドーリ・チキン カジュラホのシク教徒のチキンやさんのもの 焼き上がった直後タンドーリ・チキン カジュラホのシク教徒のチキンやさんのもの 焼き上がった直後

クリームを加えて煮込めばコルマと呼ばれるこってりしたカレーです。
さらに18世紀には唐辛子が普及して加わるようになったとか。
 
ヨーグルトと香辛料のマリネ液に漬けて柔らかくした鶏肉を焼くというタンドーリ・チキンが登場したのはインド独立の年。
英領インド時代にペシャワール(現在はパキスタン)にあった
モティマハルデラックスがデリーに移転した時に供されたのが始まり。
 

タンドーリ・チキン カジュラホのシク教徒のチキンやさんのものタンドーリ・チキン カジュラホのシク教徒のチキンやさんのもの

ムガル料理はインド中(世界中ともいえる)に広まっていて、どのお店でもタンドーリチキンはあるのに意外と歴史は浅いんですね。
 
ところでタンドール料理=チキンを思い浮かべるほど根付いていますが、タンドールで焼かれたものはなんでもタンドール料理なのでタンドールでロティーを焼けばタンドーリ・ロティだし、パニール(チーズ)を串刺しにして焼けばタンドーリ・パニール。

マハラシュートラのマテランのムガル料理屋のタンドーリ・チキンマハラシュートラのマテランのムガル料理屋のタンドーリ・チキン

中東、ペルシャのほうでもおなじみのカバブなども焼いちゃう。
(カバブは山羊肉を香辛料に漬け込んで焼いたもの。挽肉で作ったものだとシーク・カバブです。)
 
北インドでは住宅街や安宿街などで香ばしいにおいを漂わせている庶民的なタンドーリ料理専門店を見つけられることもあります。
 

デリーの住宅街にあるタンドール料理屋さんの鶏とシークケバブデリーの住宅街にあるタンドール料理屋さんの鶏とシークケバブ

そういうお店のメニューにはタンドール料理しかない上、立ち食いだったり、テントで作られた掘っ立て小屋だったりしますが、レストランでお皿にきれいに並べられたタンドーリチキンを食べるより、安くて美味しかったりする。
味も美味しいけど、ダイレクトに伝わる香ばしい香りや雰囲気もよい。
 
これまで見たこういうお店はたいがいシーク教徒がやっていたので、元々肉食をするシーク教徒は肉料理の調理法に長けているのかも。
 

鶏肉をスパイス漬けした物 タンドールで焼く前鶏肉をスパイス漬けした物 タンドールで焼く前

ちなみにカジュラホのタンドーリチキン屋さんは酒屋の隣にあります。
テントの奥に秘密部屋があり、外から見えないように覆われています。
要するにタンドーリチキンをつまみに酒屋で買った酒を飲めるのだ。
 
寺院の前なので、酒は勿論、ニンニクとかの刺激物を使った味付けの
タンドーリチキン自体も果たしていいのかどうかという気もしますけど、こっそりと食べてる分にはおとがめなしってところでしょうか。
 

タンドールと呼ばれる素焼きの窯を作っている職人さんタンドールらしき素焼きの窯を作っている職人さん

ちなみに寺院の目の前にあるこの酒屋さん。
来店客たちは商品を受け取ると、そそくさとシャツの中に隠します。
チキン屋の秘密部屋に気づいてたらここで夕食にしたのになぁ。
日本のノリでおおっぴらに宴会したら怒られたろう。
タンドーリ・チキンの他に別のお店でサモサ、オムレツなど買い込んで、ホテルの部屋でちびちびと飲みながら食事したのがいい思い出です。
 

名も無いタンドーリ・チキンやさん

カジュラホの酒屋の前にあるタンドーリ・チキン専門店カジュラホの酒屋の前にあるタンドーリ・チキン専門店

カジュラホ メインロード ブルースカイカフェの北
 
カジュラホの西の寺院群の目の前にある名も無いタンドーリチキン屋さん。夕方16時にオープンする。
タンドーリチキンの他にはチキンの手羽や肝などもありますが、チキンより売り切れるのが早い。
鶏肉はひな鳥くらいの大きさなので一人で半羽分がちょうどいい感じ。
ここでチキンを焼いてもらっている間に隣の酒屋さんで酒を買い、持ち帰る人が多い。
やっぱり外ではおおっぴらに飲めないからでしょう。