クピティン・クラパ・サウス・パダンkepiting kelapa saus padan [椰子蟹のカレー炒め]

クピティンkepiting＝蟹、クラパkelapa＝椰子で椰子蟹、サウスsausがソースです。パタンpadangはインドネシア北部のスマトラ島にある地名で、スパイスを多用したこってりした味付けのパダン料理はインドネシア全土で人気があります。つまりパダン料理風に味付けた椰子蟹です。
ぶつ切りにした椰子蟹を豪快に炒め、唐辛子、トマト、生姜、ニンニクなどをベースにしたソースに辛め、仕上げに溶き卵をさっとまとわせて作ったもので、簡単に言うとターメリックの入っていない椰子蟹のカレー炒めって感じ。タイ華僑が考案した蟹のカレー炒めプーパッポンカリーに近いです。
皿に手を突っ込んで手をべとべとにしながらかぶりつくしかないです。

インドネシア中華。椰子蟹を贅沢に炒めて食べます！

こちらの料理はインドネシアマルク州の州都アンボンで頂いた物。
マルク州の郷土料理は素材の味を生かしたシンプルな味付けの物が多く、調理法が日本料理に通じる物があるのですが、ずっと滞在しているとこってりした物が食べたい！！という衝動に駆られるのが現代日本人。
そこで訪れたシーフードレストランで注文したのがこちらです。
 
食材と調理法を指定して料理を作ってもらうスタイルで、金額は時価。
さらに重さで値段が決まっており、このときは１オンス25,000ルピアでした。
もはや高いんだか安いんだかよくわからなかったりします。
 

パダンのあるスマトラ島は北部のマラッカ海峡を通って来る貿易船の玄関口でもありました。
そして、中国から華僑として渡ってきた人が多く住む島でもあり、中東から運ばれてきたスパイス、マレーや中華の調理法など様々な影響下で生まれたのが、パダン料理なのかなと想像しています。
 
食材により、使うスパイスが様々で、黄色かったり、赤かったり、色鮮やかで味がこってりした料理が多く、ゆってみれば中毒性がある。
日本語にしちゃうとなんでもカレー炒めとかカレーソースになっちゃうけど、醤油とか味噌とか塩とか一つの調味料がベースになる日本人にはインドネシア人のスパイス使いはなかなかまねできません。
 
そして、シーフードレストランと言えば中華系経営なのが一般的で水槽や氷を敷き詰めたショーケースに陳列された魚介類から食材を選び、好きな調理法を指定して料理してもらう。

それが今回はパダン風ソースになっていたわけですが、やけに大きな爪を持つ蟹だと思っていたが、
まさか椰子蟹だったとは。

メニューではただ「蟹」としか書いてなかったのです。日本では天然記念物で超貴重なのに。
 

椰子蟹は蟹とは言われますが、分類としてはヤドカリです。
沖縄から熱帯太平洋の島々に生息しており、見た目だけでなく、味もエビと蟹を合わせたような濃厚な味がします。
特に大ぶりのハサミの中には身がぎっしり詰まっているのでとっても食べ応えがあります。
 
そして、身の味に負けないくらいしっかりと濃厚なソースが絡みつき、チリの辛味やスパイスのとがった味を卵がまろやかに包み込んでくれ、美味しい×美味しいの相乗効果で、幸せな気持ちになる。
 
インドネシアは日本から出て行った味の素が幅を利かせているので、
特に中華系の料理になると化学調味料もたっぷり入っていたりもしますけど、
マルクのシンプルな味がずっと続いていたのもあり、食が進みました。
 
調理法はお好みで。椰子蟹、見つけたら是非、食べてみてください。
 

サリ・グリ　sari gurih

Jln. Dana Kopra No.14, Ambon, Indonesia
 
マルク州の州都アンボンにある小さいシーフードレストラン。
カラオケがうるさいのでゆっくり食べてられないとこもありますが、サービスです。味が美味しいから気にもなりませんでしたが。
空心菜炒めとか南の方の定番中華も勿論食べられます。
サーゴー豆腐とかもシーフードたっぷりで美味しいです。