バブイbabuiとは台湾原住民の言葉で山豚=イノシシのこと。プユマ族やアミ族などが使っています。
バブイ・シアウでイノシシ汁のことだそうで、イノシシを解体して、肉、骨、内臓などのぶつ切りと、大根、酸菜(漬物)などとともに煮込んだ汁物です。味付けは生姜と塩だけと実にシンプル。
スープにする部分は骨の周りの肉なので、うまみが良く出て、塩味だけで滋味深い味わいが広がります。
猟師さんが猟に出たとき限定で食べられるごちそうの一つです。
イノシシを捕ってきてまるごと調理します。バブイはイノシシです。
台湾の原住民族はかつて山に住む物は山から、海に住む物は海から食材を獲ていました。
山からのタンパク源と言えば猪やキョンです。
解体した獲物の肉は煮たり焼いたり、骨の周りは汁物が定番ですが、猪肉を生食、つまり刺身でいただきました。
日本人も馬や牛を生で食べますから驚くことでもないのですが、猪って刺身で食べたことがなかったのでちょっと感動ものだったのです。
台湾風でニンニク醤油に漬け込んだ肉をそのままいただけます。
(※お店ではなく個人宅でいただきました。)
そして、こちらは猪のレバーです。肝臓。
魚を湯引きするのと同じくらい、さっと表面をお湯で湯がいただけでほとんど生の状態です。
これもやっぱりみじん切りしたニンニクと醤油、酒と和えただけで、ちょっとだけ唐辛子が入っています。
この唐辛子がリンキウという小さいけどとても辛い唐辛子です。
焼き肉えびすの事件で、日本では生レバーが食べれなくなりましたが、味わいはおんなじですね。
レバーって火を通すとぼそぼそになりますが、生はプリッとしておいしい。
そして、肉や内臓のおいしく食べれるところを取り除いた後、それを汁物にして食べると。これが最終工程という感じです。
焼き肉や汁物に関しては原住民料理を出すレストランや屋台で食べることはできますが、猪ではなく豚を使っていることが多い。
日本でも猪鍋はありますが、大抵旅館かなにかで猪肉を出汁や味噌で煮て食べさせるような感じなので、猪の骨などはどうしているのでしょうね。
ちなみにフィリピンでは豚のことをバブイといいます。
台湾の原住民族は昔南方から移住してきた人たちなので、原住民の独自の言葉は、タガログ語、インドネシア語などと似ています。
インドネシアで豚はバビ、猪はバビ・フタン(森の豚)です。
違うけど、ちょっと似てますね。
日本語も漢語は中国語や韓国語と同じ単語がありますが、あれと同じことですね。
食べ物も言葉も文化のつながりって面白いなぁとしみじみします。