愛玉子はクワ科イチジク属のつる性植物。台湾の新高山山麓に密生しており原住民が常食にしていたものです。この果実状の種子をゼリー状に加工したお菓子を愛玉冰といいます。
この愛玉自体は味がなく、檸檬のシロップに付けて檸檬愛玉子にしてあることが一般的。味の決め手はシロップです。レモンではなくシナモンと合わせたものなども大人の味です。
ゼリーのようで、ゼリーよりはねっとりと味が濃く、実は相当カロリーが高いらしい。
戦後、ルカイ族が常食にしていたという話を聞くと、ああ、たぶん戦後は食べ物に困っていて、これが代用食だったのかもなぁと想像してしまいました。今はデザートとして大人気です。
台湾屋台の定番はもともと原住民の主食でした
愛玉は台湾南部の屏東県の山奥にある霧台郷の名物の一つです。
霧台郷にはルカイ族という少数民族が住んでおり、彼らが戦後にこの愛玉を常食していたと台湾の原住民について書かれた本に説明がありました。
今でこそ台湾では夜市などどこででも食べられますが、元々は戦後のものがない時代に山の食材として活用していました。
ちなみに台湾のお隣、中国では果実の実の仁を加工したデザートがいろいろあります。
代表的なのは日本の中華デザートとしてもおなじみの杏仁豆腐。
杏の仁(種の固い殻の中身)を使って作ります。
種から仁を取りだし水を加えてすり潰した白い液体に、砂糖、生クリーム、牛乳などを加えて煮、ゼラチンで固めます。
対する愛玉子は仁のペクチンを抽出してゼリーにするそうです。
ペクチンは、あらゆる野菜や果物に含まれる天然の多糖質で、糖分、酸と作用してゲル化する性質があります。
果実ジャムは、果実から溶け出したペクチンが果実中の酸や糖と作用してゲル化するのですが、種類によってはペクチン質が少なくゲル化しにくいため、別途ペクチンを添加することもあります。
ところがこの愛玉子は、種子を水の中で揉み込んでいくだけでどんどんどんどんゲル化が進むのです。
黄色っぽいゼリーの色は愛玉の天然色。
無色透明の水がだんだん黄色くなり、とろみを増していきます。
日本でおなじみの寒天の様に煮出す必要もなく、簡単にペクチンが抽出できるのですね。
愛玉には身体の火照りを鎮め、喉の渇きをいやす効果があるそうです。
ただし、カロリーは米と同じ位あるとか。
澱粉質の塊のタピオカの類と似たトコがあります。高カロリーです。
屋台ではお店はお茶と愛玉子をカップに入れ、ぶっといストローでずるずるずるっとすすりながら飲んだりしますが、デザートとして食べるときは煮豆や粟餅など、他の食材との組み合わせてもおいしいです。
霧台ではシンプルに野生のシナモンをかけたものも食べさせてくれました。
ゼリーといったらローカロリーのおやつの代表ですが、この愛玉はそれなりに腹持ちがする。
蒸し暑い台湾です。つるりとした食感と檸檬の爽やかな香りにそそられますが、寒天と違って0カロリーではないことだけは心に留めとくべし。です。
愛玉子の作り方
種子さえ手に入れられれば簡単に作れます。台湾旅行土産に買うのもいいです。
■ぷるぷるゼリー愛玉子を作ろう!:愛玉の種子も買えます。
■愛玉子 ~オーギョーチー~ by Pinguino