もはや説明などいらないであろう上海小吃の代表格小籠包。小さい包子(具入り饅頭)を籠に入れて蒸したもので、薄い饅頭の皮の中にはスープがほとばしる肉餡が包み込まれています。
味つけのベースは醤油ですが、上海の多くのお店は砂糖の量が多く、全体に甘味がきつめ。他の都市で食べても上海の味を継承する店は甘味が強いことが多いです。
特に上海蟹の季節になると登場する蟹肉餡は涙が出るほどうまいのだ。
小籠包発祥の上海でも頂いてます。
上海にある「南翔饅頭店」という有名店は元々南翔鎮が発祥の地。
清朝時代、南翔鎮に住んでいる黄明賢が転業して南翔大饅頭を作り、古猗園で呼び売りをしたのが始まり。
あまりに美味しいのでまねして古猗園周辺で饅頭を売り始める人が増え、ライバルが増えて行くことで改良を重ねて行ったという話。
ライバルに負けないように肉の量が増えて中身はずっしり重くなり、皮がどんどん薄く、大きさも小さくと変貌したのが小龍包。
当時の職人の職人魂でできたものってことですね。
小籠包が饅頭や包子と何が違うかと言えば、ポイントは皮にあります。
肉まんなどの包子は小麦粉に水とドライイーストを混ぜて、練った後に寝かせて、発酵させることでふわふわに仕上げます。
小籠包の皮は半発酵。発酵時間を間違えると大失敗です。
発酵させすぎると包子の生地のように空気を含んでふわふわになり中のスープがしみ込んでべたべたになってしまいます。
逆に発酵が充分でないと皮が固くなるそうです。
この半発酵のテクが饅頭作り競走の末にできた技なのかもしれません。
現在は麺や饅頭などと共に小籠包を提供するお店もあるし、小籠包専門で営業している店もあります。
上海料理を出す高級レストランのメニューにも必ずあります。
上海の小龍包は砂糖醤油の甘めの肉餡のお店が多いですが、小籠包発祥の古猗園南翔小籠の小籠包は砂糖が少なくて、肉餡とのバランスが関東人の私にはちょうどよく美味しいです。
ただし、店内の点心コーナーの混雑ぶりはすさまじいため、一人では手軽にいけません。複数人数で行く方が無難です。
また最近では台湾のディンタイフォンも有名です。
こちらはとにかく肉餡を包む皮がものすごい薄いのが特徴。
餃子の皮と焼売の皮の間くらいの薄さの上、肉餡も激ウマです。
蒸した時に破れないギリギリをうまく保っているのだ。
中国本土のあちこちで小籠包を食べてきましたが、台湾の小籠包には敵わないよなぁと思います。
小籠包は皮の厚みやもちもち感と肉餡と肉汁のバランス。
これがうまいこといってるお店に出会うと感涙ものですよ。
(たまに小さい肉まんか?という店もあります。マジで。)
古猗園南翔小籠
上海の古猗園という庭園の入口近くにある元祖小籠包店。
店内は点心だけを食べられるコーナーとレストランに別れており、レストラン棟はガラガラ。上海の人の休日でなければ点心コーナーもここまで混まないようです。
小籠包を食べるには、まずレジで注文をして代金を支払います。
その後、店の外まで続く商品を受け取る長い列に並び、注文品を受け取る仕組み。
ただし、受け取った時に席が空いているとは限らないので、複数人数できて、
一人が席取り、一人が商品を受け取った方が無難です。
不二心
大連市中山区世紀街3号1-1-2
大連にある上海点心を出すお店。店内では小籠包と饂飩(雲呑)、店外では持ち帰り用として肉まんの類を売っています。
小籠包の肉餡は上海の砂糖多めの味で、雲呑のスープは濃いめの白湯。全体に味がしっかりついています。
店外の肉まんを持ち込んで、小籠包や雲呑と共に食べる人も多い。
大連の路面電車の駅からも近いし、高級ホテル街に近いため、仕事などで一人で大連に来た人が簡単に食事をするのにもオススメです。
ただし、昼時はすごく混むそうなのでご留意アレ。