クランkerangが貝、ラクササraksasaが巨大なという意味のインドネシア語。巨大な貝でシャコ貝のことです。
貝柱を殻から外し、肝を取り除いてさいの目切り。ニンニク、唐辛子、レモンで和えた物。とれたてのシャコ貝を海水で洗っているので、海水の塩味をまとっており、塩はほとんど入れてません。
ぷりぷりの貝柱の甘みがちょっぴり効かせた調味料で引き立って絶品のお味。南国でも生で魚介類を食べるのも意外だった一品です。
シャコ貝ってインドネシアでも刺身で食べるんですね。
シャコ貝はこれまでもトゥミス(炒め煮)で食べたことはありましたが、刺身で食べたのはなかなかまれなシチュエーションでした。
マルク州のはずれにあるタニンバル・ケイ島への船旅の途中、あまりに波が高く、航行続行不可能で近くの島に引き返したのです。
ほとんどの人が揺れに備えて食事を取っていなかったのもあり、乗客達が一致団結して、ご飯の支度を始めました。
ある女性は持参していた荷物にあった米袋を開け、ご飯を炊き、ある女性は火を熾して魚の干物を焼き始める。
そのとき男性陣が、海に潜って取ってきたのがシャコ貝ってわけです。
島に上陸してから5分もしないうちにシャコ貝が4つも登場し、見る間に女たちの手によって調理されて行きました。
そうやってできあがったのが冒頭の写真のシャコ貝のマリネです。
その次は島の人たちとシュノーケリングに行ったときのこと。
珊瑚礁の合間に体長20cmほどのシャコ貝を見つけたと思ったら、あれよあれよという間に捕獲されてしまいました。
よく、ダイバーがシャコ貝に挟まれて浮上できなくなって死ぬ・・・なんて話聞きますから、私など見ただけでびくびくしてしまうんですけど、地元の男はあっさりしたもんです。
陸上に上げられたシャコ貝は、鉈で捌かれます。
この鉈、別にシャコ貝を食べるように持っていたわけではなくって、この湾に来るまでに歩いてきた獣道に伸びた枝とかを落として道を切り開くために持って来ていた物です。
シャコ貝の貝殻に鉈を突っ込み、貝殻から貝柱をはがします。
貝柱をはがすとご覧のとおり。ぱっかりと顔を開けて、身がお目見え。
このあと、貝ヒモや内臓などと身を分けて、食べやすい大きさに切ったらできあがり。
要するに刺身なのです。
こちらが貝のキモのみを取りだした物。(レモン添えてあるけど。)
ある子供が拾ってチューチュー吸っていて、怒られていました。
肝なので苦みがあって通な味がしそうだけど、毒もあるのかも。
大人に怒られつつも、長いことしゃぶっておりましたね。
ビーチで即席マリネのできあがりです。
実はこのとき、我々、たまたまレモンを持っておりました。
クエン酸とビタミン補給のつもりで「レモンいる?」なんてゆってたら、「レモン持ってるのか!!シャコ貝たべよーぜ」って話になったわけ。
貝殻から取りだした身を海水で洗って、ほんのり塩味が付き、これにレモンをぎゅーっと絞って即席マリネです。
ニンニクや唐辛子がなくても、充分うまい。鮮度がいいからぷりぷりで貝柱があまーい。
シャコ貝はクラン・ブンブ・トマッのところでも書きましたが、
ワシントン条約ではシャコ貝科の全種が付属書IIに分類されており、取引を規制しないと存続が危ぶまれるとされているようです。
ただ、こういった状況はほとんど自給自足に近いような生活をしている離島の島民には関係ない、かまってられない問題でもありますし、こうやって捕獲されてしまうのでしょうね。(共犯が何を言うか。)
昔は写真のような体長1メートル近いシャコ貝とかもあったようですが、
現在は、大きくなる前に捕獲されてしまって、なかなか見ることはできないようです。
ラクササ(巨大)になる前に、食べられてくうちに名前かわっちゃいそうだわ。
たぶんジャカルタとかバリとかのレストランではお目にかかることにない味だと思います。
海沿いの小さな町や村で、出会うことがあれば、是非、食べてみてください。
インドネシアでも貝は生食するんだな~と新鮮な驚きでした。
(ちなみに同じ地方で魚を刺身で食べたらいぶかしげな顔で見られました。)
これも鉈で岩からはがし、そのまま生で食べました。味も牡蠣みたいだった。