甕wengは瓶(かめ)、窯yaoはかまど、鶏jiは鶏(ニワトリ)のこと。カメをかまどにしたてたものにニワトリを入れて焼きあげた鶏の丸焼きです。
8種類のスパイスが入ったスープにつけ込んだ丸鶏を大きなカメで40分いぶし焼きにしたあと、今度はタレを付けながら小さなカメで焼き色をつけていくという手の込んだ料理です。
じっくり窯焼きにしているのでとってもジューシー。ニンニク醤油の焦げた香りも食欲をそそる。台湾で評判の料理です。
鶏肉の丸焼き。蒸し焼きにすると超うまい。
肉をむやみに焼くと、うまみが水分とと一緒にでていくため、「最初は強火で表面を焼いてうまみを閉じこめる」と教わる物です。
フライパン以上の高温になる窯焼きで、しかも厚みがある丸鶏ですから、美味しく焼くには温度管理が非常に難しいはず。
ここでは、釜で鶏の表面を焼いた後、窯から取り出し、余熱で火を通す。
温度が下がったら釜に入れ、また出してという作業を繰り返します。
肉汁の流出を最小限に抑える工夫です。絶対熟練の技がいる。
また、鶏肉をつるした金属器には下部に受け皿がついています。
この中にはニンニクと椎茸が入っており、鶏の皮からしたたる脂でこのニンニクと椎茸に適度に火を通す仕組み。
ニンニクと椎茸、これらを自動的に煮込んだ肉汁は大皿にどーんと盛りつけた丸鶏の片隅に添えてテーブルへ。
1羽の鶏のうまいところを余すとこなく頂くと言うわけです。
食べ方もまた豪快。
添えられた軍手とビニール手袋を装着して手でばきばきと分解します。
最初はビビリますが「鶏肉の関節ってこんなにぱきぱき折れるっけ?」とびっくりするくらい、簡単にぽきっと折れる。
長時間火にかけられて骨も関節もみなみなが弱っていると思われる。
店内にはテレビ放送の録画ビデオが流れ続けているので、それを見れば綺麗に6等分くらいに分解できますが、食べやすいようにさらにバキバキ分解してゆき、添えられたスープも塩胡椒もレモンも全部混ぜてやりました。
一応、お店の提示する模範としては食べる時に好みで胡椒を付けます。
ニンニクや醤油が焦げた香りやジューシーな鶏肉のうまみが鮮烈。へたするとパサパサになりがちな鶏の丸焼きです。
こんなのを食べてしまうと、そんじょそこらの鶏焼きは食べられません。
無料の窯焢脆筍湯(筍入り鶏スープ)と白いご飯(温泉白飯)で頂く。
これ絶対に日本人は大好きです。
美味しい脂質と適度な甘さとアミノ酸という「わかりやすいうまさ」。
残念なのは1羽丸ごとしか注文出来ないことです。
以前は半羽でも頼めたようですが、恐らくそんな人まれなのでしょう。
2011年12月現在では1羽単位になってしまっておりました。
一人旅では行けないお店。複数人集まったら是非どうぞ。
礁渓温泉は台北からも日帰りできるので思い立ったら食べれますよ。
甕窯鶏
宜蘭縣礁溪鄉礁溪路7段7號 09:00-22:00(休日24:00)
礁渓温泉の駅から2キロほどの国道沿いにあるお店。
バスで礁渓を訪れる場合、店の前を通ります。
休日ともなると駐車場は満杯で常に人が出入りしているのですぐわかる。
店の入口付近でメモを片手にうろうろしている店員さんに声をかけ、席札を貰います。
その後、カウンターで先に料理を注文し、支払う仕組み。
お客さんの回転が意外と速いので混んでいてもすぐ食べられます。
問題は鶏肉が1羽単位でしか注文出来ないことでしょう。
肉の他にも肝とか温泉野菜や茸などいろいろあるのでできるなら大人数で行きたいお店です。