日本人が想像する高級な中華料理に必ずはいる北京ダック。北京の宮廷料理の一つで満漢全席にも登場するほどだが、現在は庶民の味の一つとして割と手軽に食べることができる。
醤油、蜂蜜(水飴)などにつけ込んだ鴨を丸ごと一羽釜の中に吊るし、果木で起こした炎で炙り焼きにします。
元々太らせた鴨を焼くので脂肪過多ですが、つるして炙り焼きをする間に余計な脂がしたたり落ちて、ちょうど良い塩梅に。さらにハチミツ入りのタレがぴかぴかの照りを生みだし、見た目にも美味しく、食欲をそそる一品です。
中華料理の王様感がある料理。
日本の北京ダックは高級品であるだけでなく、なぜか皮だけをうやうやしく薄餅(バオピン)に包んで食べさせられます。
パリパリに香ばしく焼けた皮は食感も面白く、美味しいのですが、皮だけを食べさせるが故に高くなっているところもある気がする。
(コース料理の場合、肉は別の料理に化けて出てくることもある)。
中国では皮だけではなく、皮つきで肉を切り身にしてくれるのが普通。
皮のパリパリとした香ばしさとジューシーな肉の味が同時に味わえ、はっきりいってこっちのほうが私は好き。
ダックに添えられるものは両国ともほぼ同じです。
春巻きの皮くらいの大きさの薄餅を広げ、ダック、葱を載せて、甜麺醤をつけてくるくると巻く。
脂ののった鴨肉にサッパリとした後口の白髪葱がよく合う。
鴨肉に下味が付いているのでそのままでも食べらますが、薄餅は日本のものよりも少し厚めでもっさりしているので、お餅に巻いて食べる場合、中国の甘口味噌:甜麺醤のこってりとした甘さがないと、物足りない味になってしまいます。
また、肉をそぎ落とした残りの骨は、スープにしてくれます。
大根などの野菜と一緒に煮込んだサッパリ味のスープで、食後の後口をサッパリしてくれること請け合いです。
ところで、中国系住民の多いお隣のベトナムでも町中の温ケースに焼いたダックをずらりとつるして売っていたりします。
庶民がバイクでぶぶーんと帰宅する途中に買って帰るんですね。
宮廷料理だったときに外国人をもてなす料理の一つとして外国人にこの料理の知名度が上がっていったそうなので、日本や香港などは高級料理の流れで定着したようですが、ベトナムは庶民が食べる普段着の料理として定着したんだなぁ。
日本で焼いたダックを丸ごと一羽買って帰るなんて無理なので、なんかうらやましいですわ。(※ウソ。切り身で買って帰ってます。)
ベトナムじゃ鴨をお粥にしたりして、割と定番の食材です。
北京ダックの老舗「全聚徳(長春支店)」のダック。鴨のおなかは砂糖を付けて食べる