エンピンempingとはグネツムという亜熱帯地方に分布する木の実から作られた揚げせんべいのこと。
ムリンジョmelinjoと呼ばれるこの木の実(仁)には澱粉が多く含まれており、この実を煎って薄い円盤状にたたきつぶしたものを乾燥させ、食べる時に揚げます。
さくっさくっと軽く頂けるのでスナック菓子の様ですが、れっきとした食事の付け合わせです。ほろ苦くパリパリした軽い食感がやみつきになりますよ。
お菓子みたいなご飯の付け合わせ
インドネシアで何らかの料理を頼んだ時、皿の隅にせんべいが添えられていたなんて経験をすると思います。
代表的な物がクルプックと呼ばれるキャッサバ澱粉の揚げせんべい。
海老がすり込まれたクルプック・ウダンは中華のエビチリに添えられることもあり、割と日本でも見かけることができます。
インドネシアのきちんとした献立にはこのクルプックが付き物で、これがないと食事としては不完全なのだそうです。
そのクルプックに変わる物のひとつがエンピンです。
クルプックは淡泊な味なので海老や魚など他の材料を混ぜてうまみを足しても相性良くよくなじみますが、
このエンピンは実自体に独特のほろ苦さがあるため存在感があります。
またクルプックに比べると固めでパリパリっとした食感です。
スナック菓子のように見えますが、おかずといわれても納得いく味。
また、レストランでビールを頼むとつまみに出されることも(有料)。
中国ではよくピーナツが出ますが、インドネシアの中華料理屋はピーナツの代わりにエンピンやクルプックを出してくれることも多いです。
このページの最初の写真はジャワ島のジョグジャカルタの有名なお店アヤムゴレンスハルティのエンピンゴレンです。
こちらのお店のアヤムゴレンはカリカリとしたクリスピーな衣が売り。
そのアヤムゴレンを揚げている同じ油でエンピンを揚げるため、ほろにがのエンピンが鶏のうまみと香りをまとっていて、ここまで来るともうスナックの域を超えて、料理の一品と認めざるを得ないかんじです。
お酒を出す店ではつまみ代わりに別注文できることも多いので、えびせんだけでなく、エンピンにもチャレンジしてみてください。
エンピンの方がクルプックよりもちょっと高めですが、クルプックよりも味が深くて美味しいです。