咸水xian shuiは直訳すると海水。鴨yaはアヒルのこと。骨付きのアヒル肉に山椒と塩をすり込んで寝かせた後、鍋に水を張り、生姜、八角などの香辛料と共に煮込んだ料理です。
肉は柔らかく、うまみも抜群。皮の表面についた塩味がくっきりとした味の輪郭を出しています。そのままでも食べられますが、添えられたニンニク醤油ソースをつけるとさらに食が進みます。
熱々の料理を好む中国にして珍しく常温で供されるおかずです。
塩水に漬け込んだ家鴨を使った煮込み。
こちらの料理は上海料理の系統と言われます。
アヒル肉は栄養価も高く、肉に含まれている脂肪酸の融点が低いため、消化吸収に優れています。
また、ビタミンB群等の栄養素は他の肉類よりも豊富に含まれており、中国では一般人が家庭の味として食べるほか、病院食としてもだされることが多いそうです。
(血行をよくする、胃腸を整える、咳を緩和する、熱を下げる、虚弱体質の改善、食欲推進、便秘改善、などなど。)
医学的効能を考えつつ食事を食べるところは中国っぽいですが、それをおいても「アヒルってこんなに美味しいんだ。」と思わせる味。
塩をすり込んでから一晩冷蔵庫で寝かすことで下味がしっかりつき、また生姜や葱と一緒に煮込むことで肉の臭みはすっかり抜けます。
香辛料の使い方が絶妙で、中国人の肉の調理の仕方は完璧です。
ちなみにシンガポールではチキンライスやダックライスなどが庶民食として有名ですが、それらに添えられるダークソースってこれだなぁ~と。少し甘めのニンニク醤油。
福建省から渡った華僑の子孫が多い国なので、彼らのお袋の味が定着したのでしょう。
しかし、日本人にしてみると鴨がアヒルとは意外ですね。
鴨といえば野鴨子。つまり野生の鴨と家畜化されたアヒルを区別してこう呼びますが、
日本では野生の鴨の方を鴨。家畜化された物をあひる(家鴨)と逆の名前です。
あひるは中国から伝わったとされるようですが、言葉は面白いものですね。
故宮鴨肉店
故宮とつくと「宮廷料理?」と勘違いしそうですが、廈門の故宮路にある鴨肉専門店。鴨のローストや野菜料理などを出してくれます。
廈門に来たのだからビーフン!と探していて、それとなく聞いてみたら出してもらえました。
さすがに庶民の味なのか、庶民的な店にはありそうです。