キューバ

チリンドロン・デ・ランゴスタ chilindrón de langosta [ロブスターのトマト煮]

チリンドロン・デ・ランゴスタ chilindrón de langosta [ロブスターのトマト煮]
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チリンドロンchilindrónというのはスペインのアラゴン地方の郷土料理で玉葱、トマトなどを炒め煮にしたソースのこと。ランゴスタlangostaはご存じロブスター。ぶつ切りにしたロブスターを野菜のうまみたっぷりのソースで絡めた料理で、ソースにロブスターの味噌や殻からのだしも溶け込むので、ソースの味が絶品!野菜の甘酸っぱさにとろ~りとしたコクが合わさります。
キューバで食べた料理の中で最も美味かったご馳走です。

チリンドロン・デ・ランゴスタ ロブスターのトマト煮チリンドロン・デ・ランゴスタ ロブスターのトマト煮


キューバの料理は、この土地に元々住んでいた土着の民族のものよりも、
後から入って来た、スペイン、アフリカ、中国などの料理が合わさったものが目立つ。
オクラやバナナはアフリカ、米や唐辛子、トマトはスペインが、醤油や中国野菜は中国が持ち込んだ。
食材や調理法が混ざって根付いた料理もあれば、料理法そのままに根付いたものもある。
これはどちらかというと後者でスペインの郷土料理がそのまま根付いたものと思われる。
 
ランゴスタはしばしば伊勢エビと訳されますが伊勢エビのうまさに比べると大味です。
でもぷりぷりとした食感を楽しむのには充分だし、ソースで絡めるのでなお問題ない。
(刺身で食べたら劣るだろうなぁ。伊勢エビの刺身は甘くてぷりぷりだもの。)
 
ちょっと豪華な食事!という時に食べるもので家庭の食卓に滅多にあがらないため、
外国人がたかられる時に大抵こういう高級食材を奢らされます。
ただ、彼らにしては高級でも観光客向けのレストランに比べると破格の値段設定の
安くて美味しいバラダール(民営の食堂)に連れて行ってくれるので、持ちつ持たれつ。
4人前払っても観光客向けレストランで食べる1人分の食事より安い。
 
またキューバが米を主食としてくれていて、これほど嬉しかったこともないです。
エビが食べ終わって皿が下げられそうになった時、
「待ってください。私、このサルサを食べたいのであります。」と親父を引き留め、
ご飯にソースをかけて完食してしまったほどです。
 
家庭でいただくトマト味は大抵トマトケチャップなので甘ったるさがあるのです。
ケチャップ味はやっぱアメリカから伝わったのでしょうね。
 
ちなみにチリンドロンですが、これは元々スペインのトランプ遊びから来ているそうです。
 
スペインのトランプは我々が知っているトランプとは絵柄が異なり、
ダイヤ・ハート・クラブ・スペードのかわりに金、聖杯、こん棒、剣の4種の絵柄。
10はジャック、11は馬、12キングの絵柄がついて、13がないのです。
このトランプを使ってやるカルタ遊びで、ジャック、馬、キングがそろった時をチリンドロンと呼ぶそう。
 
料理の語源は色とりどりのトランプと見た目が似てるとか食材の組合わせの妙から来たとか
諸説ありますが、いずれにせよ、アルゴン地方の郷土料理として広く知られる存在です。
本場スペインでは肉料理のソースになるのが一般的のようですが、絶対にエビの方がうまいよ~。
エビ、蟹あたりが最高だと思います。海老、蟹くいのアジア人には泣かせる味。