ムルタバmartabakは小麦粉で作ったお好み焼きのようなインド由来の軽食。テルバリクterbalikは逆になるという意味です。
小麦粉を練った生地を薄くのばし、鉄板に広げて焼いた後、玉葱や葱のみじん切りを混ぜた溶き卵を注ぎ入れ、小麦粉の生地を卵でコーティングしながら焼いていきます。
ムルタバは通常小麦粉の生地を焼いた物に何かを包み込むので、まさに「逆になった」料理です。
小麦生地がものすごく薄いのでこなっぽさが全くなく、言われなければテロール・ダダール(卵焼き)としか思えない。小腹がすいた時の軽食にどうぞ。
インドネシアの屋台で人気の卵焼き。インド
この料理はアチェやサバンで食べられます。
まず小麦粉に水などを加えて練った生地を一口大にまとめます。
この生地を破れてしまうんじゃないかというくらいいすーくのばし、マーガリンを落とした鉄板で火を通します。
このお店は薄くのばした生地の真ん中だけ生地が重ならないように四角く折りたたんでいますが、他のお店では薄くのばした生地をてっぱんの上に無造作に落としてくしゃっとさせていました。
その上にマーガリンをタップリ加えて生地を焼いていくのでデニッシュでも作っているのかと思ったくらいです。
小麦生地にマーガリンの油がまわりある程度火が通ると、その上に刻んだ野菜を混ぜた卵生地をダーーっと流し入れます。
そして、時々ひっくり返したり、形を整えたりしながらムルタバ生地を卵でコーティングして仕上げていくのです。
綺麗に座布団の様に焼き上がったところで1人前ずつ切り分け、インドネシアのブンクスの定番、油紙と一緒にくるくるまき。
油紙の隙間には唐辛子と玉葱の酢漬けを添えてできあがり。
焼きながら何度もマーガリンを足していくので、さぞかし脂っこいのかと思いきや意外や意外。
ふわふわの卵焼きにでした。オムレツよりは少し弾力があります。
よーく断面をみると小麦生地が入っているところは半透明で、入っていることはわかるのですが、ものすごく薄くしてあるのと、マーガリンがタップリ入っているので言われないとわかりません。
パンのようなボリュームがあるわけでもなく、卵焼きってかんじです。
インドネシアの卵焼きは豆腐を入れる物もあるのでそれと同じ感覚なのかもしれません。
ただし、小麦を練った生地なのできちんと火が通らないと粉っぽいのでうすーく、うすーくのばすのでしょう。
小麦生地を入れることでもちもち感がでるのかもしれませんね。
卵だけで焼くのともすこし違って、でもやっぱり味は卵なので、面白いなぁと思いました。
もしまたサバンに行くことがあったら、今度はデニッシュみたいに生地をまとめたおばさんの店で買ってみようと思います。
(その前に自分で作った方が早い気がする。)
スマトラ島ってマラッカ海峡の入口にあるし、ウェー島はその先端の島だし、早くから小麦粉が島に入ってきていたのかもしれませんね。
中華系の人たちも多いので、麺料理もいろいろありますし。
東南アジア一帯でもインド系の住民がムルタバを広めましたが、この逆バージョンムルタバは初めて見ました。
私は軽食として頂きましたが、カレーにつけて食べたりもするようですよ。